QNAPのTS-231Pを導入した話

2018/01/07

PC

t f B! P L
皆様、新年あけましておめでとうございます。
三が日あけ最初の仕事は、東京の実家で利用しているファイルサーバーのQNAP TS-231Pへのリプレースでした。
NASキットを導入するのは初めてだったので、自作PCをベースとしたファイルサーバーと比較したりしてみたいと思います。

旧ファイルサーバー

元々、実家では一台のWindows搭載PCがファイルサーバーとして稼働していました。
サーバー自体はAtom 330辺りのnVIDIA ION搭載なベアボーンを流用したもので、既に設置から10年近くが経過するマシンでした。
搭載するHDDも500GBしか容量がなく、バックアップ用の外付けHDDも容量が1TBしかない状態でした。
搭載していたOSも既にサポート期限が切れており、セキュリティ上の懸念等もあったためリプレースを急ぐ必要がありました。
また、以前に記事にしたとおりDS-Liteを使ったネットワークを自分専用に用意したため、家族用のネットワーク内にあるファイルサーバーへ、自分用ネットワーク内にあるPC類からアクセスすることが出来ないという欠点がありました。

リプレース候補

旧ファイルサーバーは、以前はファイルサーバー以外にウェブサーバーやプリンタサーバーとしても利用していましたが、セキュリティ面の問題やプリンターの買い替え等により利用することがなくなってしまったため純粋なファイルサーバーになっていました。
そのため、自作PCやベアボーンPCを用いてサーバーを立てる必要はありませんでした。
そこで、安価で高機能なファイルサーバーを設置できるというメリットのあるNASキットを採用することにしました。
NASキットのメーカーとしてはDiskStationシリーズのSynology
や、ReadyNASシリーズのNETGEAR
などがありますが、今回はQNAPのTurboNASシリーズの廉価モデルであるTS-231Pを採用しました。

QNAP TurboNAS TS-231P

TS-231Pは2ベイのフロントホットスワップベイを持つNASキットです。
2万円台のNASキットでホットスワップベイを持つ機種はQNAPの本機種くらいしかない上、TS-231PはデュアルLAN対応という特徴を持っています。
今回はこのデュアルLAN対応によって家庭用ネットワークと自分用ネットワークの両方からアクセス可能な構成を目指す目的で本機種を選択しました。

セットアップ

 付属品はACアダプターの他、LANケーブルが2本付属します。
LANケーブルはCat5eでしたが、長さが1.8mほど有るため使い勝手が良いです。
ルーター等に付属のケーブルは50cm程度しかないことが多いので気前がいいですね。

 NAS本体です。
正面にはHDDベイの他にステータスLEDが5つ(POWER、LAN、USB、HDD1、HDD2)、電源ボタン、ワンタッチコピーボタン、USB3.0ポートが備わっています。

 背面はファン排気口とLAN端子が2つ、USB3.0ポートが2つ、電源端子、ケンジントンロックポートがあります。

 HDDベイのトレーは、手前部分を上向きに引き起こすことでロックが外れ、引き出すことが出来ます。

 筐体内はアルミフレームがむき出しになっており、制振加工などはなされていないようです。

HDDトレーは全体が樹脂製になっており、こちらにもやはり制振加工や静音設計はされていないようです。
樹脂そのもので振動などを吸収する設計なのでしょうか・・・。

HDDを取り付ける

 HDDはQNAPが公式の互換品リストでも提示している、Seagate製のNAS用HDD「IronWolf」シリーズの3TBモデルであるST3000VN007を2本購入しました。
NAS用HDDは、通常のデスクトップ用HDDと比較すると温度や連続起動時間などの面で耐久性を高めに取られている他、回転数が低めに取られているなど工夫がなされているので、値段面で若干高いですが専用品を使っていきたいところです。

HDDトレーへの固定は、付属のシルバーのネジを用います。
トレーに直接取り付けとなるため、制振や静音の面でやはり不安が残りますが・・・。

初回セットアップ

本体正面の電源ボタンを押すとビープ音が一回鳴り、起動が始まります。
その後、長いビープ音が鳴ると、ウェブブラウザ等からNASへアクセスすることが出来るようになります。

初回時はIPアドレス等が分からないため、公式サイトからQNAP FinderをダウンロードしてNASを探します。
ログインボタンを押すと、ブラウザが起動して初回セットアップが始まります。

 初回セットアップでは、adminアカウントのパスワードを設定した後、時刻設定のNTPサーバーを手動で設定することが出来ます。
今回は精度等を重要視してインターネットマルチフィード(mfeed)のNTPサーバーを指定しました。

 ディスクの初期化では、2ベイのうち1番ベイのみをセットアップします。
2ベイ構成でRAIDを組む場合、RAID0かRAID1しか組めず冗長性の向上には繋がりにくいため、単体でセットアップをして2台目はバックアップ専用に用います。

初回設定終了後、設定画面へアクセスしてファームウェア更新もしておきましょう。
最新版ではパフォーマンスの向上やセキュリティの向上などが含まれています。

パフォーマンス

TS-231Pはギガビットイーサを用いて2つのルーターに接続しています。
それぞれのネットワークから1Gbpsの伝送速度でSMB接続を行うことができます。
設定次第ではFTPやSFTP等も利用できるようです。
PC側はJumboFrameを有効にしていますが、NAS側は互換性を鑑みてJumboFrameはオフにして1500KB MTUで利用しています。

速度は有線LAN環境ではギガビット環境の理論値に近い数値が出ます。(110MB/s≒900Mbps)
また、4Kランダムの数値がHDD本来のパフォーマンスより明らかに良い数値が出ています。(HDDを直接SATA接続した場合は4Kランダムは1MB/s前後)

NAS側のメモリーがHDDキャッシュとして割り当てられているのかは不明ですが、測定容量を1GB以上に設定した場合に4Kランダムの速度は下がっていく傾向なので何らかのキャッシュが働いているのかなと感じます。

HDD本体の内蔵キャッシュ(64MB)に収まる範囲内であれば4Kランダムの書き込み速度は更に速くなるようです。

ただし、これらはHDDの使用量が少ない状態での速度なので、今後ファイル量が増えてくることで転送速度はこれより少なくなると思われます。

バックアップ

NASを含むファイルサーバーのような仕組みでは、ファイルのバックアップが重要になってきます。
万が一メインで使用しているHDDに障害が発生した時、ファイルを復旧ないしは復元するためのバックアップを用意する必要があります。
今回は2ベイNASであることを利用し、メインの1ベイのデータをサブの2ベイにバックアップする方法を用います。

 バックアップには、QNAP AppCenterでダウンロード可能な「Hybrid Backup Sync」アプリを使用します。
無料でダウンロード可能です。

 まず、ストレージ領域タブからバックアップストレージを作成します。
事前にバックアップ専用の共有フォルダを作成しておき、そのフォルダを指定しておきます。
今回は全体バックアップ用のストレージと、増分バックアップ用のストレージを用意します。

 すべてのジョブタブから、ジョブを追加していきます。
このNASでは、毎週水曜日に全体バックアップを取得し、毎日増分バックアップを取得する方針としました。

増分バックアップジョブは詳細設定ページから、最終更新日によるフィルタリングと、バージョン管理30日分を保存する設定を追加しました。

また、この他にも万全を期す場合は外付けHDDなどへのバックアップも取ると良いかもしれません。
TS-231PはRAIDを組んでいる場合はスナップショットにも対応するので、コピーによるバックアップではなくスナップショットを利用すると復旧が楽かもしれませんね。

使ってみて

NASキットはセットアップが簡単でいいですね。
機能も豊富で、ファイルサーバーだけではなくメディアストリーミングサーバーとしても使えるようです。
ただし、今回は従来のファイルサーバーからの移行ということもあり、ファイルの移動や家族への周知などで若干面倒があったかなと感じます。
便利に使えたらいいなあと思いつつ、未だに機能を全て把握できていないので勉強していきたいですね。

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ネットワーク屋さんのサーバエンジニア。 ソフトウェア制作は趣味。 VTuberのおたく5年目。 インプ(GT型)乗り。 音ゲーとFPS。

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