ZOOT NATIVEでIPoE IPv6とDS-Liteを試してみた

2017/08/06

PC

t f B! P L
画像出典:http://interlink.or.jp/service/zootnative/index.html
夏季休暇に合わせ、東京の実家に戻ってきています。
実家のインターネット回線に関しては都内におけるYahoo!BB 光 with フレッツの劣悪さと相まって、実測値における夜間帯などでは目も当てられない速度になってしまっていました。
実際に、今年の5月~6月などに測定した速度では、下り速度が2Mbps前後まで落ち込んでしまい、動画再生やファイルのダウンロード等に支障が生じる程でした。

なぜ速度が低下する?

このような時間帯による速度の低下は、主にNTTが保有するNGN網終端施設内に設置された、各プロバイダの網終端装置が混雑することで発生します。
この網終端装置は、プロバイダの一存で増設等が出来ないためにプロバイダ側も増強工事等を順次行っていくしか無く、現状の「深夜時間帯の速度低下」は発生します。

そのため、混雑していない昼間の時間帯などでは、従来の接続であっても十分な速度が出ることが多いのです。

解決方法

ではこのような速度低下を回避することは出来ないのでしょうか。
既存の技術における、最も効果が高い回避方法は、IPoE IPv6接続を用いることです。

従来の接続では、PPPoEと呼ばれる接続方式を用いて、IPv4ネットワークを利用していました。
このPPPoE接続における認証を行う網終端装置が混雑することによる起因するネットワーク速度の低下を回避するには、PPPoE認証を用いないことが要となります。
そこで新たに登場するのがIPoE IPv6接続です。
IPoE接続では個々のコンピュータに対してIPv6アドレスが割り当てられ、網終端装置を経由せずにPCとプロバイダを直接接続するため、混雑を回避することが出来ます。
近年になり、各プロバイダもこのIPoEを用いたIPv6接続に対応するようになりました。

デメリットがある

IPoE IPv6接続は混雑を受けにくいというメリットが有りますが、その一方でIPv4接続を必要とするインターネットには接続できないというデメリットが有ります。
例えば、Yahoo! JapanなどはIPv6接続に非対応のため、IPoE IPv6接続でアクセスすることはできません。
同様に、ニコニコ動画もIPv6接続でアクセスすることが出来ません。
これらのサイトにアクセスをするためには、IPv4接続が必要となりますがそのために従来のPPPoE IPv4接続を利用してしまっては、やはり速度低下の影響を受けてしまいます。

IPoE接続でIPv4サイトを利用する

IPoE IPv6を利用してIPv4サイトを閲覧するには、特殊な方式を用いる必要があります。
具体的には、IPv4 over IPv6と呼ばれる、IPv4通信をカプセル化してIPv6通信網を通すという技術が必要となります。

国内では、DS-Lite・MAP-E・4rd/SAMの3種類の方式が用意されており、プロバイダによって採用する方式が異なります。
IIJやSo-net、インターリンクなどはDS-Lite方式を用いています。
ビッグローブやGMOなどはMAP-E方式を用いています。
Yahoo!BBは4rd/SAM方式を用いています。

それぞれに細かな差異はありますが、いずれを利用してもIPoE IPv6接続を元にIPv4接続が確保されます。

実際に契約してみる

実家にもとから引いてあるYahoo!BB回線は家族所有のものであり、私個人が契約を変更したりする立場になかったため、新たに1プロバイダを契約してみました。
今回契約したのは、2ヶ月間の無料お試し体験が評判のインターリンクのZOOT NATIVEです。
ZOOT NATIVEはIPoE IPv6接続+DS-LiteによるIPv4 over IPv6が備わった契約です。

DS-Lite接続を行うには、DS-Lite接続に対応したルーターが必要になります。
今回はIO-DATA製のWN-AX1167GRを購入してみました。
DS-Lite対応ルータの中では最安値であり、気軽に体験することが出来ます。
IO-DATAの無線LANルータは初めての購入でしたが、デザインが独特ですね。
インジケータランプなどが表側になく、背面に小さくあるだけというのは不親切だなと感じますが。

今回、ネットワーク構成はこのようになりました。
ONU一体型ひかり電話ルータ PR-400KIには、プロバイダ情報等を入力せずにひかり電話対応ハブとして利用します。
PR-400KIに2台のルータを接続し、①のルータには元々契約していたYahoo!BBのプロバイダ情報を登録し、これまでのネットワークを利用できるようにしています。
②のルータに、新たに契約したインターリンクのZOOT NATIVEの登録を行い、私個人のPC等を接続しました。

結果

自宅は下り200Mbps、上り100Mbpsのフレッツ光・ハイスピードファミリーなのですが、その理論値に近い速度が出ました。
左の画像が深夜12時頃ですが、混雑する時間帯にも関わらず圧倒的な速度が出ています。


また、IIJが提供しているIPv6専用の測定サイトでは理論値を超える300Mbps以上の速度が出ました。

このように、従来のPPPoE IPv4接続では絶対に不可能とも言える速度を実現可能なIPoE IPv6+IPv4 over IPv6接続。
今後のIPv6推進によって主流となっていく可能性もありますが、少なくとも今現在はマイナーな知名度となっています。
快適なインターネットライフを送るには、積極的に採用していきたいですね。

ちなみに・・・

遅い遅いと文句を言っていたYahoo!BB 光 with フレッツですが、8月頭に入って再度測定を行ってみた所、安定して30Mbps~50Mbpsが出るようになっていました。
どうやら、7月中にNTT施設内設備の増強工事が行われたようで、混雑状況がかなり改善されていたようです。
この速度であれば、十分に快適にインターネットを使うことはできそうですね。
もちろん、DS-Liteによる接続と比較すると何倍も速度が違うので、大容量ファイルのダウンロードなどでは差が出ますが、ウェブブラウジングや動画再生程度であれば問題ない速度ですね。

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ネットワーク屋さんのサーバエンジニア。 ソフトウェア制作は趣味。 VTuberのおたく5年目。 インプ(GT型)乗り。 音ゲーとFPS。

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