Athlon 5350でFluid Motion Video

昨年12月にAMDが公開した最新のRadeon用グラフィックドライバー「Catalyst Omega 14.12」から、一般の動画再生ソフトウェアでもDXVA経由でFluid Motion Videoを有効にできるようになりました。
これまで、数千円するPowerDVD14を購入しなければならなかった上、映像ソースはBlu-rayメディアに限られていました。

ところがDXVA経由で有効にできるようになったためMPC-HCなどのフリーのメディアプレイヤーでも有効にできるようになりました。

ただし、有効にするにはGCN（Graphics Core Next）世代のGPUを搭載している必要があり、公式で対応を謳っているのは

・A10-7xxx
・A8-7xxx
・Radeon R9 290X/290/285
・Radeon R7 260X

に留まっています。

非対応のGPUを搭載している場合、通常はCatalyst Control Center（以降CCC）のビデオ品質設定画面に「流体モーション」の設定項目は現れません。
が、BlueskyさんのDXVA CheckerとBluesky Frame Rate Converterを用いると、これらを強制的に対応させることが出来ます。
詳細な手順は配布サイトで説明されています。

・AMD Radeon GPUで流体モーション(Fluid Motion)を強制的に有効化する方法
・Media Player Classic Home Cinema (MPC-HC/MPC-BE) で使用する方法
・AMD Fluid Motionに関する動作設定

今回、GCN世代のGPUであるRadeon R3 Graphicsを搭載しているKabini APUのAthlon 5350でも同様の手順でFluid Motion Videoが有効に出来たので報告します。

なおAthlon 5350を含め、非対応のAPUではCmMode_FrameRateConvは1である必要があります。
上記手順を実行したあと、CCCのビデオ品質設定に「流体モーション」が現れていれば成功です。

しかし、お世辞にもパフォーマンスは良いとはいえません。
グラフィックコアのそもそものスペックの低さゆえに解像度の大きい動画では中間フレームの生成が間に合わず、フレームレートが60fpsを大きく下回ります。
この場合、音声との同期のため数秒おきに音声が止まってしまい非常に聞き苦しい映像となってしまいます。

参考までに、いくつかの解像度の動画を再生してみました。
もちろん、動画側のエンコード設定によって状況は変わるかもしれませんが・・・。

 1280x720のHD解像度の動画では、フレームレートが40fps前後まで下がってしまいます。
音声が止まる頻度も高く、快適ではありません。

 ニコニコ動画などではメジャーな854x480のFWVGA動画は、そもそも再生時にエラーが発生してしまって再生できません。
Fluid Motionに非対応の解像度というものがあるということなのでしょうか？

 960x540のQHD解像度では、フレームレートは50fps前後になります。
止まる頻度はHD解像度よりは少ないものの、やはり快適とはいえません。

解像度を640x360まで下げると、流石にフレームレートは60fpsになります。
解像度が小さいためきれいな映像にはなりづらいですが、Fluid Motion Videoを適用してスムーズに再生できるラインは恐らくこの辺りでしょう。

結局のところ、Athlon 5350でFluid Motion Videoは有効に出来ますが、実用的ではありません。
少なくとも快適にFluid Motion Videoを見るのであればA8-7600のGPUコア以上のスペックが必要であるということなのでしょう。
確認していないので実際にどうなるかは分かりませんが、同じくGCNコアであり対応APUに内蔵されているRadeon R7 Graphicsの倍程度の性能を持っているR7 250Xなどのグラフィックカードは、現在であれば1万円以下で購入できるわけですが、これらのGPUでもFluid Motionが有効にできるとすればAPUを買って新たに一式組み直すより遥かに手軽にFluid Motion Videoを楽しめることになりそうですね。